先生の作品につきましては、言を弄せば唇寒し
 先生は火の玉の人、パトスの人である
 内燃機関のごとき先生の力はいかに調達されるか
 一触火のあがる揮発性の燃料とは
 先生の体力ギリギリの脳ミソのなかにあり
 肉体が脳ミソと競争して 危なそう
 三日ごとに先生は斃れ蘇生するとの由
 オブジェ… ひとりぼっちの孤独な表現
 解釈に解釈を塗りこめる
 新風でもなし不易でもなし
 他者不在の自トク的自己表現
 恥ずかしいではないか
 なんなら今ここで死んで見せましょうかとて
 先生土に還るおのれを見せつける
 あれにはその他おおぜい身も蓋もなし
 春秋に義戦なし
 機心あるところ機械あり 
 機械あればかならず機事あり
 畢竟の原子爆弾 
 とはいえ 先生かなしき甲斐なき怒りを怒ってみせる
 一大事とはこのこともって他なしと
 しきりに無コを殺傷することたまりませんと
 直截なり
 先生は作る 作って作りまくります
 尺度と問わばそれはこの世にないようで
 現代の茶道≒新興宗教と敬して遠ざけつ
 その精神とは昵懇のご様子
 先生どうも室町桃山に焦がれ侘ぶるようで
 そこにまじる縄文の血といいますか
 一万年の荒ぶるDNA押さえがたし
 それに常滑のワーキングクラスの出自
 真正のワーキングクラスは
 インテリをバカにするのです
 
 先生は火の玉小僧
 根性丸出し顔面蒼白、あたるを幸い突進します
 土に突貫 泥中を走る
 さてはこの世に新しきモノなしとはいえ
 先生は先生につながるものを彷彿とさせたいよう
 ニッポニアニッポン人の面目をほどこすか
 根底で一体であること 一点から発し不変であること
 しかしながら肉薄しても残るは紙一重 詮なしと
 先生は彷古に走るはずもなし
 そして先生は先生を引っ提げて歴史に推参するか
 その力量資格ありやなしや 
 人は彼に天才ありと指さしますが
 この文化果つるときいかんせん
 勝手に作って少数の理解者にゆだねよう
 カラ元気は男子の本懐
 我が身中の火の玉冷え凝るまでご覧じあれと
 先生は云っているようで
 ヒヤヒヤと遠くに拝察するのです
葎
この度は白の茶碗を眼目に、水指、花生、酒器、皿鉢湯呑みと品目いろいろに出展していただきます。一昨年以来の今展、なにとぞご来場のほどお願い申し上げます
RYOJI KOIE
1938 愛知県常滑に生まれる
   
 
 




