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    (手前 H13.2cm D12.0~14.2cm SOLD OUT
    後ろ H11.8cm D11.3~14.0cm)
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photo:永田陽)

浅野哲陶展Satoshi ASANO

2/10 Sat. 〜 3/4 Sun. 2007

 苛政は虎よりも猛しという警句がある。陶芸家であろうとその苛政から免れないことがある。それは無名から有名に転じたときにやって来る。それまで全き個人であったその陶芸家は、おどろきおそれて法人に転ずる。そのほうが税金で助かるからである。そのかわり税金のことで汲々としなければならない。以降、彼は税務署に捕捉され、当局は租税捕捉率がアップする。

 やきものを志してはや何年、女房子供に殺されるような貧乏も経験したが、やっとこのごろ名が売れ作品も売れるようになってきた。この作品はだれの助けも受けずおのれ一人の力で作り出したものである。ましてや国や地方がわが創作にあずかって力を貸してくれたことなど一度もありやしない。土建屋とはちがうのである。金はたしかにこの数年儲かり出した。家が建ちそうである。しかしコンプリケイティッドな税金のことなど無知に決まっている。ただうすうす恐れは抱いていた。いつか奪われるのではないかと。案の定、彼らはやって来た。彼らは野盗のごとく奪うという発想しか持たぬ者どもである。家捜しするように調べ上げられた。やきもの屋の経費なんて土と光熱費くらいか。へたすれば年月をさかのぼって根こそぎ持って行かれる。急には払いきれない…それなら分割ででも払ってください。ただし消費者金融なみの利息はかかります。それから今回は重加算税も課されることになります…
 このようなことは筆者の知るかぎりでも往々ある。優れた作品をものする芸術の人は、表層的な意味で世間知らずである。ガラスの神経の持ち主である。それがこのような不条理というか、憂き目にさらされたら世間を、おのれの属する社会をふかく恨むようになるかもしれない。それが作品に影響を及ぼすかもしれない。なにより創作の意気が阻喪されることを筆者はおそれる。

 彼は早くに個人という矜持を捨てて法人に化けておけばよかったのである。そしたらいろいろと経費で落とせるようになる。女房子供じじばばにまで給料を払って人件費にする。そして領収書集めに奔命する。夜の飲み代まで落とせるなんて知らなかった!しまいには子供の結婚式まで経費で落としてやろうとみっともない妄想を抱くかもしれない。かくして芸術の人である彼の頭の中の何%かは税金のことで占められるに至る。表現の自由を圧するものはなにも役人軍人おまわりだけではない。税制も圧するのである。内面から圧することがあるのである。

 苛政とは権力が庶民にむごい税を課すという謂いであろう。苛斂誅求という言葉がある。税の軽重は時代のレジームによってそれぞれであるが、軽重は別としてその税を取るには権力側にモラルの裏打ちが少しく要るのではないか。税制にも思想が必要なのではないか。この国の木に竹を接いだような複雑怪奇な税制に一貫した思想を見ることはできない。モラルがないから複雑になる。税法を毎年いじる。苦しがって税の種類を増やす。有志は調べてみてくれ。国、地方、直、間あわせて税と名の付くものは五十種以上あるという。他の文明国でもそうなのだろうか。所得税の申告書類一つ見ても尋常な人には理解困難であり、読むのも面倒くさい。税理士のところへ行け。尋常な人なら日常、税のことなど考えたくもなくなる。敬して遠ざける。そして上述の陶芸家のように不意打ちを食らうのである。

 わが税制は千年来の、社会個人が持していた醇風美俗を破壊しているように思われる。文化と自由を見えない形で圧しているように思われる。

 今展の浅野哲もいつ有名人士に転ずるかわからない。彼は今免れているだけである。電脳社会は天網恢々疎にして漏らさずである。他人ごとではない、ゆめゆめ油断めされるなと言っておきたい。

葎

SATOSHI ASANO
1958 大阪生まれ
1988 京都市立芸術大学 大学院陶磁器専攻了

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