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photo:永田陽

山田晶展Akira YAMADA

12/13 Sat. 〜 28 Sun. 2008

 今展の山田晶は、陶家の三代目である。こう書くと家の生業として陶業を営んでいるといった三代目のようだが、そのようなまあ健康的なものではなく、父祖父ともに芸術としての、それも父は前衛陶芸を志した人だったので、いわばエスタブリッシュされた営業基盤のようなものを、彼は残してもらっている訳ではないのである。しかもお二人とも陶磁史に大なり小なり名を残すような人であったから、晶としてみれば、おのれの出自に結構やっかいなものを感じていたのではないだろうか。それに彼は女兄弟のなかの一人息子でもある。同じ道を行けば芸術の人の息子はたいへんなのである。
 あと目を継ぐというが、あとを継いでいいものと悪いものがある。また継げるものと継げないものがある。ヤクザのあと目はだれが継いでもいいのだが、国となると、自分の息子に一国を継がせるなどという話は、キチガイ沙汰かお笑いぐさと言うべきである。現に奇形のイデオロギーと、底の知れない悪をしっかり後嗣して、冷酷無比な苛政をしく独裁者が隣国にいたりする。人死(ひとじ)には百や千どころではないのである。親の欲目を国の政治に反映されたら国民はたまったものではない。昔ならその及ぼすところの迷惑や塗炭の苦しみは、自国の民に止まるものだったろうが、例の爆弾を持たせてしまっては万事休すである。金のなる木だから、死ぬまで手ばなすまい。あるいはいつか使いそうな顔付きをしている。人質もいるぞ。殺すぞ。いっそそちらさんのほうから攻め込んで来たらどうだと思いさえする。ついでに救いに行くのである。この国は行かないだろうか…。政治はやはり継いではいけないものだと思う。わが国の場合もひとごとではない。私たちは失望しているのではないか。
 政治と同様芸術も、継ぎようのない、あるいは継がない方がいいものの最たるものだと思う。親の因果が子に報いという。親の欲目でおのれの子にも個性才能があると思うのは親心ではあっても、他人の目から見ればただの人である。世間は親を覚えているのであって子ではない。比較しようのないところで比較されるのは子の不幸である。芸術で名を残すほどの親を持ったなら、子は変な了見などは起こさずに冷静でいるのが賢明なのではないか。芸術の血脈は一代限りということである。いや、この世は生きている人の世の中である。なにごとも本来一代限りなのかもしれない。
 晶のことだが、彼は父(光、走泥社創業メンバー)と同じことをするのに逡巡している。彼は親の支配とか影響に対して、子として健気な方ではなかったのではないかと思われる。だから自分の将来のことについて親との距離を保てたのかもしれない。おのれの意志の働く余地があったのである。そして父も冷静だった。「あんたには才能はないやろ」とか、迷ったのちにこの道を行こうとせっかく決心したのに、「いまごろから始めるのか」とか言われたりしていたらしい。突き放すようなことを言っている。
 山田の家は岐阜の雲端寺という浄土真宗の寺だったらしい。だから父も祖父も親鸞の教えに帰依している。親鸞の肉声を伝える歎異抄に、〝詮ずるところ、愚身の信心におきてはかくの如し。この上は、念仏を取りて信じ奉らんとも、また捨てんとも、面々の御計らひなり〟というくだりがある。遠国から教えを乞おうと、はち切れんばかりの期待を抱いて、身命を顧みずやって来た弟子たちに放った言葉である。まあ信心しようがしまいが好きにせよということである。信心はひとりひとりの問題であると突き放している。弥陀の請願は親鸞一人(いちにん)がためなりとも言い切っている。このような思想というか哲学が、山田の家には家風として吹いていたのではないかと思われてくるのである。晶の人となり、また作るものを見ていると、彼は継ぐべきものを継いで無事なのである。-葎-

猩々緋(しょうじょうひ)メモ
成形後、赤の顔料を施し、素焼きする。それを磨く。さらに赤と黒の顔料を施す。掻き落しなどをする。本焼き。また磨く。最後に金赤を塗り低火度焼成する。塗っては焼くこと数度。金赤とは、金を微量含んだ上ぐすりである。オイル状の液に溶いで用いる。顔料だけでは得られない色感である。専門的にはこれを金によるコロイド状発色というらしい。

今回は猩々緋以外にも、ガラス釉、白金彩なども出して下さる予定でございます。何卒ご清鑑のほどをお願い申上げます。

AKIRA YAMADA
1959 京都生まれ
1983 京都府立陶工職業訓練校卒
1986 京都市工業試験場本科卒
1987 朝日現代クラフト展
1988 朝日陶芸展
1989 セラミック アネックス シガラキ’89
     (滋賀県立近代美術館ギャラリー)
1994 ビヨンド ヴェセル -器の概念を越えて-
     (マクドガル ミュージアム ニュージーランド)
2000 国際陶芸交流展(中国美術館 北京)
2003 2003現代韓日陶芸展(錦湖美術館 ソウル)
2005 ‘湖国を彩るやきもの’(滋賀県立陶芸の森)
2006 ビヨンド ザ ボーダー(シンガポール国立図書館)
2007 朝日現代クラフト展 招待出品
     SOFAニューヨーク(ニューヨーク)

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