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photo:来田猛

清水六兵衞展Rokubey KIYOMIZU

A Lyrical Attempt on the Vessels

3/21 Sat. 〜 4/12 Sun. 2015

 見物というものは勝手なものでまた残酷でもあり、筆者なども作者に好き勝手な注文を押し付けることがある。たとえば、これまでのことはわかった、大方の評価もさもありなん、しかしそろそろ新手を見せてほしいと言ったりすることがある。憚りながら、意を決して言うのだが、新手が見てみたいなどというのは、作者にすれば最も悩ましい注文であろう。そんなに新しいものがホイホイ出てくる訳がないからである。そのほかにもディテールに渡ることなどで、いろいろな注文とか意見を言ったりする。もとより当方に他意はないのだが、ときには摩擦の生じることもある。期待されるということは一面残酷なことなのかもしれない。サジェスチョンに反応してくれて、それが作品に反映することもある。しかしまあほとんどない。それでいいのだと思う。芸術の人は、結局は自分の作りたいものしか作らないし作れないのである。無理強いしたら角を矯めて牛を殺すのたぐいになるのだろう。このあたりが職人稼業の人との違いかもしれない。なにも職人を下に見るのではない。筆者は意地の立った職人気質に満腔の好意を覚えるものである。
 一夕清水六兵衞と酒席をともにした。酒が入ってだんだん気も大きくなり、かねて思っていた注文というか希望を切り出した。彼の一連の作は、すぐれて構造的で幾何学的フォルムと佇まいを見せてきた。彼は早稲田の建築を専攻した人である。理系の人である。本当はそちら方面へ行きたかったのかもしれない。しかしそうもいかず、きっと二世紀半という時間を閲する家の歴史が呼び止めたのだろう。当初、彼はやきものが宿命的に持つ曖昧性を排したような、それでいて土の本質的エセンスである可塑性を、韜晦しつつ垣間見せるような作で一躍注目を集める。二十代から三十代にかけてメジャーな公募展のグランプリを総なめにしている。土の可塑性をやきもの特有の甘えの文脈で捉えずに、それを理知的、理性的に見つめ直したような作品群である。彼の構造的な土の箱は、しなるところはしなり、たわんでいる。しかもそれがミリ単位の世界で図られている。自重と焼成により変成するやきものの限界というか弱点を、逆に自らの薬籠中のものにしてしまうという、そういう作家として登場したのである。
 爾来、彼はこのシリーズ作を深化させ、洗練を加えてきた。パブリックコレクションは国内外に数多く、歴史ある名家というブランド的出自ともあいまって、そのスター性、来し方といえば眩しくも赫々たるものがある。2004年度には日本陶磁協会賞にも推挙され受賞している。
 筆者も折に触れ清水の作品を継続的に見てきた。その都度思ったことは、理系だなあという思いであった。これはやきものなのだが、どこか実証科学的なものが匂い立っている。現代の建築も実証科学の積み重ねとその成果に負う。緻密な構造計算がなされ、大建築ともなればその計算書は何百ページにも及ぶ大冊となる。選択され使われる素材や建材は、計算通りに加工され、よく耐えられるように組み合わされ、立ち上がっていく。清水はそれを土という素材で、芸術という立脚点に拠って試行している。彼の構造的な作品群は筆者の目にはそう見える。
 ここに至り見物の勝手な注文の思いが頭をもたげてくるのである。彼ほどの作家なら、彼だからこそ、百尺竿頭一歩を進めるといった変化と飛躍を期待してみたくなるのである。微妙なたわみのアールも美しいが、ふくよかで豊かなアールの表情も見てみたい。もっとなにかリリカルな、抒情的、文学的陰翳を付加できないか。あげくには舟だってすぐれて構造的な構築物であろう、ヴェセル(Vessel)には舟の意味もある、舟はリリカルなオブジェである、今展では舟をモチーフに作ってくれないかと、突拍子もない注文もしてしまった。これは新手というには新手過ぎて今展には出て来ないとは思うが、彼はわがままな無理難題をふっかけられて気を悪くしただろうか。
 後日、写真用にと持って来てくれた作品を見ると、十のうちの一つくらいは聞いてくれたような気がした。その作品にちょっと今までにない新たな印象を覚えて嬉しい思いをした。
 今回は器も出して下さる予定です。何卒のご清鑑をお願い申上げます。-葎-

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