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photo:来田猛

大江志織展Shiori OHE

Weird Physical Fantasy

6/13 Sat. 〜 28 Sun. 2015

 大江志織、1985年京都生まれ。2010年、京都精華大学大学院を修了。弊館では初の個展となります。彼女にとってもまあデビューともいえる個展になるのではないかと思います。彼女のことは大学院生当時から見ておりました。そして彼女の作るものに個性というものを感じておりました。
 芸術とか表現における個性ということを考えますと、きびしく見れば、個性はそんじょそこらにたやすく発見できるものではありません。そんなことあたり前の話なのですが、世の中には自分に分以上の個性があると思い込んでいる人が多くいるようです。貴方にはそんな人にアピールできるような個性はないよといってあげたくなります。個性はだれにでもに無条件に備わっており、それを尊重し、伸ばすのがテーマであるといった国や学校の長年にわたる教育方針があります。いかがなものかと思います。
 話が少しく逸脱するようですが、個性を人権といいかえますと、そのままもう一つの教育や行政の方針と重なります。人権は、自然発生的に自動的に何人にも授けられてあるものである。そして絶対の不可侵性を持つものである。神聖犯すべからざる権利というわけです。しかしながら、そのような神聖なというほどの権利を享受し、わがもの顔に主張できるような資格が私たちに本当にあるのかどうか。人権などといっても、実体はどこにあるのか疑わしく、とても抽象的な概念だと思います。抽象的なものを理解するには思考の努力が要ります。人権は天から降ってくるものではありません。国家社会の保護なしでは成立し得ません。それを確乎たる思想として高めるためには、きびしい自省と省察が要求されるのだと思います。節制とか、謙虚とか、克己がそうかもしれません。場合によっては人権のために命をかけねばならないかもしれません。ヒューマニティー、人権なるものはそういったしんどい努力なしでは、たとえば政治の状況次第で、いつどうなるかわからないような、一つの仮象であると思っておいたほうがよさそうです。人権を振り回してかえってモラルを毀損している人たち、人権の御旗の下に言葉狩りにやっきになっている人たちなどを見ると、偽善のなかのもっともいやらしい偽善を見せつけられているようで気分が悪くなります。
 こと程さように、人権の如しでして、個性というものもあるといえばあるし、ないといえばない仮象のようなもので、とくに芸術的個性の場合は、あんまりあるあるというのは教育上よろしくないと思います。やっぱり個性は滅多にないものなのです。それをそこいらに転がっているものと、われ人ともに思わせるのは、ないものをあると欺いてきた教育の弊ではないかと思います。それでは善男善女は惑うのです。筆者は芸術的個性の発現の由縁をこのように考えています。有象無象の個性にあらぬ真の個性を期待するのなら、それは過去を母胎とし、過去からのあと押しまたは呪縛があってはじめて現れ出るものだと思うのです。古人は天(あめ)が下に新しきものなしといっています。だから偉大な個性たちはまずは過去に目を向け、過去に習い親しみ重んじ、その上で、過去にあらがったり否定さえしたのです。偉大な芸術的個性ほど、例外なく過去の恩恵を被り、一方で過去に呪縛されたのではないでしょうか。この道程なくして芸術的達成をなしとげることなどできなかったでしょう。
 話が大仰になってしまい今展の大江志織にもどれなくなりそうですが、彼女の作品に筆者は際立った個性を感じます。上述の個性とは趣きを異にする個性ですが、それは非常にインスティンクティブな感覚世界からの流露のようなものです。彼女一人(いちにん)の、アトム的世界から天然水のように流れ出てくる個性だと見ております。そこに過去とのつながりはなにもないですが、それは仕方がないことです。私たちの時代は無造作にも過去とは縁切りしてしまっているのですから。彼女は不思議な受容感覚の持ち主だと思います。いわばキュビスム的デフォルメを地で行くような造形を示します。それでいておのが抽象を感覚通りの如実なかたちに持っていく造形力を備えています。副題をWeird Physical Fantasyといたしましたが、不思議な身体的ファンタジーというほどの意味です。筆者は彼女の個性を認め祝福したく思います。何卒のご清鑑を伏してお願い申上げます。-葎-

Shori OHE
1985 京都市生まれ
2008 京都精華大学芸術学部造形学科陶芸分野卒業 2010 同大学院芸術研究科博士前期課程修了

個展
2012 大江志織展(銀座yyギャラリー・東京)
2014 大江志織のおとことおんな展 (kara-s・京都)
2015 大江志織展(ギャラリー器館・京都)
展覧会
2010 遊碗展X (ギャラリー器館・京都)
2010 懐石のうつわ展 (ギャラリー器館・京都)
2011 「奇想の女子陶芸」(阪急梅田店・大阪)
2012 『Young Artist Marche』(阪急梅田店・大阪)
2013 やきものの現在 (ギャラリーヴォイス・岐阜)
2013 「奇想の女子陶芸」(阪急梅田店・大阪)
受賞
2008 第46回朝日陶芸展 奨励賞
2014 2014年伊丹クラフト展 入選

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本展の出品作品は、Shopページでご覧いただけます。
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