• home
  • gallery
  • schedule
  • shop
  • access
  • contact
  • information
  • news
お問い合わせ プロフィール
  • 森野彰人作 雪華碗 (photo:永田陽)
  • 片山亜紀
  • 植葉香澄
  • 鈴木卓
  • 新里明士

『遊碗』展

Universe in The Bowls

5/1 Tue. 〜 27 Sun. 2007

出展者
青木挙   浅野哲   伊藤秀人  植葉香澄
内田鋼一  馬岡智子  奥村博美  梶なゝ子
片山亜紀  加藤委   金重有邦  兼田昌尚
川上智子  川端健太郎 金憲鎬   鯉江良二
小松純   崎山隆之  佐藤和彦  杉本太郎
鈴木卓   田嶋悦子  竹内真吾  丹波シゲユキ
堤展子   新里明士  福本双紅  堀香子
松田百合子 三原研   村田森   森野彰人
安宮せい子 山田晶   山田和   柳原睦夫

今の世、何とか治まっている御世だと言えば言えそうだが、もの言いたくてうずうずしている人が多いようである。人のことは言えないが、酒など入るとたちまち悲憤慷慨の士に変ずる人がいる。うっぷん晴らしである。風流な人から見れば野暮なやつだということになる。なかにはいいかげんにしてくれと、止めどがなくなる人がいる。いい人なのであるが、日頃言いたいことがうず巻いて腹のふくれる思いをしているのだろう。あんたは結局なにが言いたいの?と言ってみたくなることがある。

とはいえ本当に言いたいことなど人間そんなにあるわけがない。これだけは言いたいと思うことである。筆者などよくよく考えて、ひいふうみいようと指折り数えてみてもそんなにないことがわかる。あとは些事である。ヴァリエーションである。本当に言いたいことはと言えば、師も曰く、正義と聞けば気を付けよ、満つれば欠くる、機械あれば必ず機事あり、平和のときの平和論、春秋に義戦なし、ない袖は振れず、は蛇足で、など々である。まだもう少しある。我が内奥をのぞき見れば人間というものはいやなものだなあ。ただし思想になどにはなっていない。ただ電気の走るように思うのみである。

芸術の人にだって本当に言いたいことがあるはずである。なければなるまい。それがなんであれ結局はそこの表現である。そして芸術を嘯くかぎりは、その表現に詞藻をまとわねばならない。美をまとわねばならない。毒を含まねばならない。個性なるものを打ち出さねばならない。オリジナリテを。抽象という行為を通して。このようなことをすなる人種は、やはり選ばれた人たちなのである。うつつのときでも夢を見る能力。インスピレーションというものを本然的にそなえ持っている人種とでも言おうか。

本当に言いたいことを口走ろうとすると、前後の言葉が追っかけっこを始めて抜きつ抜かれつして、舌までこけつまろびつすることがある。思想になっていないのである。飾ってもの言おうとする。ボキャブラリーとレトリックの貧なるが故ということもある。芸術の人の困難もそれに似て、いやよりずっと困難で、本当に言いたいことからおぼろにあらわれ立つ幽かな、非常に幽かな漠然たるものを、おのれのインスピレーションの網でもってからめ取らねばならないということがある。それの現物化のためにである。さてもおぼつかないことである。からめ取ってしめたと思ってもぬか喜びに終わることはよくあるというより常にあることではないか。そしてでっち上げに終わるか、本当に言いたいことの表出に成功するか、あとは神様にお願いせねばならないような事柄なのである。

ある作者の畢生の作とは、そのとき天佑神助を得て生(ナ)したものであるような気がする。そんな作品は天の出来事のようにしてそこにある。筆者のみならず見物は作者の本当に言いたいことを淵源とするインスピレーションと、なにか虚空にただよう捉えがたい宇宙的なものと、この二つがドンピシャとシンクロしたようなものを見たいと思っている。すなわち天の出来事のようなものと思える作品を欲する。天の出来事のようなものと言っても、なにも素直であれとか作為を否定するという意味ではない。神ならぬ人の作るものである、作為をめぐらし技術をこらさねば幽かなるものの現物化はとうていおぼつかない。芸術の人の内奥にある本当に言いたいことはそれぞれだろうが、それが天の出来事のように現出したとき、そしてそれがものを言ったとき、その作者の畢生の作、あるいは上出来の作となるのだろう。それとの出会いは見物にとっての一期一会となり得る。見物は残酷だから、見るたびにそれが交じっていないかと期待する。見物にも力量が要ることはわかっています。作る人には御免を蒙って、今展のなかにもそれが在るのではないか在るはずであると思いたく云爾(シカイウ)。

葎

Gallery一覧へ戻る
Return to Gallery Page

本展の出品作品は、Shopページでご覧いただけます。
Pieces shown in this exhibit can be viewed, and, if available, purchased, on the Shop webpage. Please follow this link to the Shop and search using the artist's name, or navigate using the alphabetical list of artist names.

金憲鎬展
前の投稿2007年4月7日

金憲鎬展

鯉江良二展
次の投稿2007年6月9日

鯉江良二展

PAGETOP
2025 © utsuwakan inc, Japan. All Rights Reserved.