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photo:永田陽

寺井陽子展

6/20 Sat. 〜 7/5 Sun. 2009

ほめ殺しという言葉があるのかは知らないが、まあほめ倒して殺すのか、つぶすのが目的だろうから、それは陰湿で底意地の悪い行為であると言える。毀誉褒貶(きよほうへん)という言葉はある。毀誉褒貶相半ばする人物とか言ったりするが、そういう人は、あるときはほめられたり、あるときはそしられたりするのだろうが、清廉潔白、まじめ一方の人よりもなにか信用できるような気がする。人はどこまで潔白かと問われたら、それはことが露見するまでということが言えるのではないか。この世には偽善も必要であるということである。ただしどこまで必要かという問題はある。そして人は自分は安全な場所にいて、他を攻撃するのが大好きなようである。さんざ持ち上げておいて、ちょっとでもなにかあれば手のひらを返すようにおとしめるということがある。水に落ちた犬は打たねばならぬ…。 近頃の芸人はその最たる被害者ではないか。引きずり下ろそうと待ちかまえている私たちがいる。しかしもともとアウトローの芸人に修身道徳を求めてどうするのか。芸が面白くなくなるではないか。芸人も苦しがっているはずである。芸人はよろしく不品行たるべし。ザクザク入るあぶく銭はよろしく散財すべしでいいのではないか。スキャンダルもまき散らすのである。あとは芸でものいえばいいのである。政治家にはそれなりの徳のようなものが求められるのだろうが、彼らとて浮世に生きる人間である。いいことも悪いこともするだろう。清く正しいだけの政治家なんてなんの役にも立たないのではないか。そんなことわかっているはずなのに、私たちはちょっとしたことで彼らを葬ろうとする。マスコミはその尖兵である。そして政治の場において、政治家同士でおたがいを裁きあう法廷弁論みたいなことばかりやらせているのである。あほらしくなってこないのだろうか。政治家もなさけないが、彼らは私たち自身が選び、大げさにいえば私たちの命運を任せた代議士である。彼らには権力がある。あんまり吊るし上げすぎると恨みを買うぞ。買っていないというならあまりにも鈍感である。恨みはいつか晴らされるのである。ルサンチマンから政治をやられたらたまらない。汝に石もて追う資格ありや。

 私たちはほめては落とすという事を気まぐれにやりすぎである。その落としようにはあんまりなものがある。もう少しほめるときも落とすときも、覚悟と責任のようなものをもって処すべきではないか。人はほめられてよくなる。よくなればほめたほうもほめ甲斐があったというものである…。ところで芸術の人は特にほめ甲斐がある。なぜなら彼らは不安な存在だからである。生意気言っているようだが、本当にそうである。ほめれば彼らの表情は一変して明るくなる。それが刻々と一顰一笑(いっぴんいっしょう)に表れるのである。やばいと思って背筋が寒くなるほどである。だから自分に言い聞かせねばならない。ほめるときは、覚悟をもってほめにほめるべし。ダメと決まったらきっぱり捨てるのだと。これが筆者のような者が取るべき態度であり良心ではないかと思ったりするのである。そして結局は親切ということにもなるのではないかと。なぜなら芸術の人は一度ほめられたら決してそれを忘れないということがある。天才だなんて言ったら大変である。言われた本人は一生忘れない。それにおのれの世界に沈潜する人だから自己陶酔しがちで、作った物の向上あるいは堕落に鈍感なところがあるからである。だからはっきり言わねばならないのである。しかしなかなかにむつかしいことではある。人情のこともあり、言うは難しである。しかしまた、要は、芸術の人は作ったものがすべてであり、それが美しければすべてよし、なのである。ここのところははっきりしてるのだから、こちらもはっきりするのがおたがいのためにも善いのである。

 今展の寺井陽子の作品も過去にほめにほめた覚えがある。作為によって作為を超えた間一髪の美しいラインを我ものとしていると。そのフォルムは、パステル調の清浄な釉色とあいまって、自然と拮抗して、ほとんど成仏しているぞと思ったほどの印象だった。今回の個展は三年ぶりだが、彼女と彼女の作品は、時間という負荷をくぐり抜けて無事であろうか…。なにか作る人に対し、おどかすようなことを述べてきているようで、筆者は畏れるが、しかし当方とていろんな意味でびびる気持ちがあるのである。

ご寛恕願って云爾(しかいう)。

葎

YOKO TERAI
1972 兵庫県生まれ
1995 京都市立芸術大学陶磁器専攻卒
     同卒業制作展 市長賞
     第2回花のすみか大賞 優秀賞
1997 個展 京都:ギャラリー紅
1998 第4回酒の器創作展 三浦賞
1999 個展 神戸:TORGALLERY
     開かれた世代 新人推薦展Part2  京都:アートライフみつはし
2000 個展 京都:ギャラリー器館
     日韓交流展 ソウル:Hanjun Plaza Gallery
2001 個展 神戸:TORGALLERY
     個展 神戸阪急美術サロン・アートリウム
2002 個展 -律・立するうつわ- 新宿、札幌:ガレリアセラミカ
     個展 京都:ギャラリー器館
2003 個展 大阪:山木美術
     2人展 -もえき- 東端哉子(日本画)と  京都:祇をん小西
     個展 梅田阪急
2004 個展 京都:ギャラリー器館
     個展 大阪:山木美術
     個展 東京:空間舎白子
     個展 -Elusive Beauty-
     Santa Fe,USA:Touching Stone Gallery
2005 個展 東京:サボア・ヴィーブル
     個展 -Elusive Beauty-
      Santa Fe,USA:Touching Stone Gallery
2006 個展 愛知:悠遊舎ぎゃらりぃ
     個展 京都:ギャラリー器館
2007 個展 宝塚:ギャラリーTip Toe
     個展 新潟:ろば屋
     個展 福岡:sea side house kuu
2008 寺井陽子・集治千晶二人展
     名鉄百貨店本店 アートギャラリー
     個展 大阪:山木美術-融ける線の音-
     個展 山梨:ナノリウム-郷愁ハイク-
2009 個展 大阪:カフェ&ギャラリー香綵

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