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photo:来田猛

加藤委展Tsubusa KATO

His Ladder to the Beauty

10/18 Sat. 〜 11/9 Sun. 2014

美についての問答

●そこにあるのは美しい花であって、花の美しさではないと、小林秀雄だったかだれかが言ったけれど、よくわからないところがある。▲それは直観で花の美に感応できるかどうかを問うているのだ。花の美についてあれこれやかましく解釈を塗り固めてもしかたがない。ためつすがめつ見れば見るほどは一段低いのだ。■ところで美とはなんぞや。●だから美しい花だよ。あるいはそれなしでは生きていてもつまらぬというものだと思う。▲私たちの生活のなかで最も身近な美といえば、やはり人間の美だろう。■いやいや人間に一番近いサルなどを見ているといやになってこないか。トラとかヒョウなどは横たわり息づいているだけで美しいと思うが。●しかしギリシャ彫刻などは、男、女にかかわらず人間の美を謳歌している。肉体の美というものはある。▲美に対する眼は、まず美しい人によって開かれるのかもしれない。■女の場合のほうが、男よりもその美を称えられることが多いように思う。女性美というのは、一つの徳ともいえる。●それエロースの神の祝福か。▲男はその美にやられる。■しかしその美も最初に見られたままでいることはできない。命短し恋せよ乙女ではないが、まことはかなくうつろいやすい。●だんだんと好悪の情が出てきてむしろ醜を感じるようになる。▲しかし男も、エロースの祝福を一身に受けているようなやつがいるが、同じことだ。■美に対する愛にもいろいろあって、助兵衛だけに終始して、そのまま老いたような男は無惨な様子である。老いた快楽主義者はいただけない。ある種の報いを受けてそこに立っているような感じがする。●だから、もともとエロースの神が、私たち人間を試しながら要求しているところのものは、相手に対するより高次な、純化された愛だということだ。エロースという名は下世話な意味に使われ過ぎている。▲醜を感ずるとしても、なおそこに美しさを見よということか。■相手をしみじみと、こまやかに、全人的に見ようとする心を持てということだろう。●どんなふうに? ▲相手の精神をも含めてだ。相手のしぐさ、心づくし、その言葉を愛してみろということだろう。■そうだろうな。しかしなかなかそこまでは至れない気がする。●いやそういう人は実際にいる。そういう人は人相からして違うように思う。▲そういう人になりたいものだ。■そういう人は、ひろく非人間的なものにも、抽象的な事物に対しても、生き生きとした愛情をもって美を発見することができるのだ。そのとき彼は、対象に永遠の相をかいま見て、神に接するの思いさえ経験するのかもしれない。幸いではないか。彼の人生はカラフルではないか。●私たちは政治でもなんでも、人間のあらゆる営為の先に、美という価値を置こうとすべきだ。美をおろそかにしては、人間であることのレエゾンデートルさえ崩れてしまうだろう。▲その通りだ、理想を込めて真善美とかいうが、まず美を筆頭に持って来てもいいくらいである。つねに美に憧れを持ち美を志向すべきだ。さすれば、おのずから真も善も、同時並行的に志向されているということになるとも言えそうだ。●しかし日々の生活の実際なかで、世事にまみれて生きる私たちには、美のみに沈潜したり、風流といったものに生きるというようなことはなかなかできるものではない。▲いや美をしみじみ愛情深く味わい、観照できる心を養っておけということだ。一つの修養だな。■日常的に美の森を彷徨したり、リスキーで剣呑な美への冒険に踏み出すことは、私たちの任じゃない。それは本職の成果に期待するとして。●本職とは? ▲芸術に人生を賭けて生きようとしている人たちのことだよ。■ああそうか、私たちは眼と心のレンズを磨きながら、手ぐすね引いて待ち受け、彼らの果実を最終的に味わえばいいわけか。批評もやるわけだな。残酷なものだな。●しかたがない。彼らもカタギでない道を行こうと選択したのだから。この道はなかなか精神の平衡を保つのも大変だろうと想像する。▲それもしかたがないだろう。ヤクザな稼業はしていてもヤクザな暮らしをするなとでも忠告申上げるか。■なんじゃそれは。芸術家という人種は人類全体にとって必要な存在なんだよ。●ところで加藤委は、ゼツタイビなんだ。過日不意の問いに対し加藤がそう言った。貴殿の作品をもってして、もっとも言いたいことは何かと聞いたら、絶対美だと言うのだ。本心からの言葉だと響いたよ。加藤には子供のようなピュアな感性がいまだに息づいていると思う。芸術の人の前提条件だ。壊れやすいものだろうけどね。そしてあっぱれ彼のこれまでの道程は、絶対美というか、美のイデアといったものへまっすぐに近づこうとするものだったと思う。実際そのように言っていい作品を、彼の達成のなかに見ることができる。加藤はエロースの神にいざなわれ、美の冒険の途上にある。はたしてその試練に耐え得るか。彼は稀人ゆえそれに耐え得るだろう。小生は向後も彼の作るものをずっと見ていきたいと思っている。▲■それではその加藤委につき、われわれも仰せの通りにするとしよう。

葎

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