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photo:来田猛

Derek Larsen展Derek LARSEN

A Fire Boy

11/15 Sat. 〜 30 Sun. 2014

 デレック ラーセン展
 デレックラーセンとは今回二度目の展となる。これも縁である。その人とその人のなす作との縁といえる。アメリカはカンザス生まれ、当年三十九歳。こちらで所帯を持ち生活も落ち着いて来たのだろう、ようやく陶芸作家として充実し、勢い付いてきているように見える。
 筆者は、これまでも現物図録問わずいわゆる自然釉焼〆陶を専らとする、外国人作家のものを多く見てきた。欧米系の人が多い。しかし勝手ながら、こちらの琴線にふれるものに巡り合うこときわめて少なく、外人、薪窯と聞くと、期待感は薄まり、見るまえからどうだろうなあと思ってしまう嫌いがあった。経験からそうなってしまった。やはりどうしても日本人的な美意識とか審美眼が働いてしまうからだろうか。いやおおげさにいえば、東洋と西洋との、ものの見方の違いなのかもしれない。それは彼我の自然観の、根本的ともいえる違いに由縁するのかもしれない。思うに、自然を神と対立するものとしてとらえ、自然は切り開かれ、征服さるべきものと考えるのが、ユダヤ・キリスト教的自然観なのではないか。父なる神は自然に対して上位に置かれる。自然は〝父なる〟神という人格的存在によって、ある種人為的につくられたものであるという見方なのではないか。というか信心であろう。よって自然に神性を認めない、自然は崇拝されるべきものでもない、崇拝され愛されるべきは、唯一神、父なる神であるということになるのだろう。そのことは聖書にも述べられている。曰く〝コスモスもコスモスのうちにあるものも愛してはならぬ。もしコスモスを愛する者があるなら、彼のうちには父なる神への愛がないことになる〟とヨハネ第一書にある。なんとも断定的な、強烈な箇所である。やはり昔からの私たちの自然観とは深く違うように思われる。
 私たちはたとえばやきものを見るとき、自然に宿る何ものかをそれらに映し見ようとする。そのときの眼差しはいかなるものか。それは自然を神そのもの、あるいは神に近いものとして受容してきた眼差しであろう。その眼差しにはさらに、仏教的価値観ひいては禅から茶道に連なる独特の美についての価値観と交差している。ある意味バイアスがかかっていると言ってもいいくらいである。ちょっとうがち過ぎているのかもしれないが、そのような宗教的というか根源的な文化的価値観が、作る側にも見る側にも作用するのは免れないように思われるのである。
 話のすじが逸脱し過ぎないうちに…。写真のラーセンの作は、信楽の蹲に似たかたちの小壺で、穴窯で焼成されている。焚き口に近い一番いい場所で焼かれている。熾(おき)にうずもれて、炭化した付着物が見られるはずだがくっついていない。多分下に置かず棚にのせて焼いたのだろう。じつはこれは磁器で、そこが面白い。志野のように、下に鉄を刷き、長石釉をかけている。もう少し詳細を言うと、割り木は栗の木を使っている。栗の木が手に入るらしい。松より油分は少ないがよく燃え、還元の青が出やすいという。だらだら長く焼くことなく、焼成は二三日で一気に上げる。還元をかける際に、彼一流の工夫があり、窯内へミスト状の水を吹き入れるということをしている。なにやらまじないのようだが、この小壺の非常な青の窯変はそのためか。清浄かつ陰翳深く自然の景を映し得ていて、美しくも珠玉のような風情である。偶成の要素はあるだろうが、ラーセンは経験上あるゆることを試みている。四分六の六で、彼の意志と行為の勝利と見たい。
 ラーセンはこれまでに米国、豪州、日本でいくつも穴窯を築いていて、現在の窯で五つ目だそうである。穴窯居士のような男である。自分のこれから進むべき方角はすでに思い定めていることだろう。彼の作るものは、穴窯による力強さと繊細さが両立している。カタチ姿がよい。こちらの微妙な心情にふれてくるものがある。古人の言い回しなら〝心にくし〟といったところか。世界と世間は意外に広い。前回(2013年4月)の展で筆者は、彼のことを〝外人離れ〟していると評した。ほめるに不適当な言葉だったかもしれない。東と西の神によしみを通じることのできる人と言い直し、同時に筆者の先入見も恥じねばならぬかと思い云爾(しかいう)。-葎-

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