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photo:来田猛

福本双紅展Fuku FUKUMOTO

Techniques toward the Beauty and Goodness

6/25 Sat. 〜 7/17 Sun. 2016

『技術としての芸術 -福本双紅の場合-』
 技術にもいろいろあるが、まず科学技術というものが思い浮かぶ。この技術の進みようは、日進月歩といったペースどころか、いまや爆発的かつ増殖的ペースで、細分化された各種の専門科学において遂げられつつある。この人間置いてけ掘の、加速度的進歩はこれからも止まることはないだろう。ご同慶の至りである。しかしながらへたな魔法使いが自分で呼び出した魔物のコントロールに困るのと同じ伝で、今日の科学技術の異様な進歩はもう私たちの手には負えないのではないかと思われる問題をもたらしている。その問題はどうしょうもない問題となりつつある。思えばここ数年来、私たちがかかえている問題がそうなのではないか。アトムの中に手を突っこんで、地上に小太陽を現出させたはいいが、人間に過誤と失敗はつきもので、案の定あの有りさまである。軍事であれ、発電であれ、パンドラの箱の中にあった技術を取り出すのなら、使用者責任とその資格が問われるのである。しかし問わるべきは個人でもなければ電力会社でもない。国でも政治でもない。いっても詮無いことだが、それは私たちすべてが問われるべきことであり、私たちの文化と文明がいかなるものであるのか、そのことが最後に問われることのように思われるのである。またしかしながら、古人は出来たものは昔に返らずという。機械あれば必ず機事ありという…。文明国でもこの有りさまなのである。キチガイに刃物ではないが、このような技術と現物が、せめて専制独裁の後進国とかの所有に落ちぬように、当面は政治に努力してもらうことくらいしか私たちのペシミズムをなぐさめる方途はないのかもしれない。

 また話の風呂敷を広げすぎないうちに…。技術とは、まずものを作り出すためにあるのだろう。それから作り出されたものを見分けたり、評価したりする技術も考えられる。広い意味で批評という仕事がこれに入るのだろう。そして作り出されたもの、あるいはすでに存在するものを、上手に用いる技術というようなものも考えられる。今回、福本双紅の仕事をあらためて眺めて、また彼女の話を聞いたりして〝技術としての芸術〟といったことについて考えさせられた。

 職人は、注文主の求めに応じてものを作る。その際、腕がものをいう。親方に仕込まれ、長年磨きに磨いてきた技術である。それは財産であり、矜持であり、意地である。その技術が極みに達すれば、神ワザともいえる域に入っていく。名人芸と呼ばれるものであり、それはなにか研ぎ澄まされた感覚のようなもので、そのままでは人に伝えられるものではない。自分にしか分からない不可侵の世界をもつことになるのである。そして仕事を完成させ、注文主からいくばくかの対価を得る。この場合彼の技術は、終始ものを作り出すための手段であり続ける。技術が最後まで前面に押し出されて完遂まで行くのである。技術自体が別して目的化されることはない。

 例えば福本の場合、写真にあるような大鉢を、窯の中での支えや型なしに、径のちがう各ピースをスタックさせ、宙でスリップさせ、スライドさせて、なお釉着させて、作品として完結させるまでには非常な試行錯誤を要したことだろう。そのなかで技術的習得を重ねたであろう。ここまでは職人と同じようなもので、彼女が自家薬篭中とした技術も、職人における名人芸にも似て、容易に人に教えられるものではないと思われる。しかし彼女が獲得した技術は、職人とはちがって、なにか別のもののために用いられる技術なのである。いわば、技術の技術ともいうべきものといえる。彼女自身がみずから得た技術、あるいは外から引っ張ってきたり、教えてもらったりした技術を、職人とは異なる方角で、なにか善美なる表現のために、技術を総合しながらそれらを用いる技術、それが芸術における技術の技術といえるのではないか。技術としての芸術といい直してもよい。技術は力でもあるから、やはり芸術にも技術が要るのである。ただその用いられ方、技術をなんと見るかに職人世界とのちがいがあるのである。陶芸におけるロクロ技術とロクロそのものを、センチメンタルな情念なしに単なる器械と突き放して見た八木一夫の故事もある。芸術とは、技術を使用し、うまく用いる、上位の立場に立つものなのである。

葎

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Fuku FUKUMOTO 陶歴抄録

1997 京都市立芸術大学陶磁器専攻卒業
1999 同大学院修了
2016 同大学院博士(後期)課程満期退学

●受賞歴
2001 朝日現代クラフト展 グランプリ
2002 京都府美術工芸新鋭選抜展 最優秀賞
2003 平成15年度 五島記念文化賞 美術新人賞
2008 平成19年度 京都市芸術新人賞
2012 第30回京都府文化賞 奨励賞

●個展(主なるもの)
2002 大阪梅田阪急百貨店
2003 世界のタイル博物館/愛知
     ワコール銀座アートスペース/東京
2007 INAXギャラリー2/東京
2009 ギャラリー器館/京都
2011 Pierre Marie Giraud/Brussels
2014 高島屋美術画廊/京都・日本橋・横浜・新宿
     JOAN B MIRVISS LTD/ニューヨーク
2015 MIZEN FINE ART/パリ

●主な展覧会
2001 京都府美術工芸新鋭選抜展
     (京都文化博物館)
     朝日現代クラフト展
     (阪急百貨店/大阪・東京)‘08招待
2006 WHITE GOLD(Flow Gallery/London)
2007 今、注目される日本の陶芸展
     (陶芸の森/滋賀・フランス・アメリカ巡回)
     BREAKING THE MOLD/KATAOYABURU
     (JOAN B MIRVISS LTD/New York)
2008 現代作家茶碗特集(日本橋三越店)
     ’09’10’11’12
2009 21世紀を担う女性陶芸家たち
     (paramitamuseum/三重)
     未来へのタカラモノ(高島屋/東京・大阪・京都)
2010 第五回パラミタ陶芸大賞展
     (paramitamuseum/三重)
     現代工芸への視点―茶事をめぐって
     (東京国立近代美術館工芸館)
2011 アジア芸術家交流展-京都からの出発
     (京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA/京都
     以後、韓国・インド巡回)
     八人展(柿傳ギャラリー/東京)
2012 美の予感(高島屋/東京・大阪・京都・名古屋・横浜・新宿)
2013 The Eight Winds
     (JOAN B MIRVISS LTD/New York)
2014 TRADITION ON FIRE
     (Asian Art Museum/サンフランシスコ)
     現代・陶芸現象(茨城県陶芸美術館/茨城)
2016 磁器の表現四人展(和光ホール/東京)

●主なパブリックコレクション
 京都文化博物館
 世界のタイル博物館(愛知)
 Marianna Kistler Beach Museum of Art(Kansas)
 メトロポリタン美術館(New York)
 フロリダ大学ハーン美術館(Florida)

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