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  • 作品〝Soos〟(右斜め上アングル)
    高19.4cm.tall 径15.2~21.0cm
    (プラチナ&硫化銀彩オブジェ)
  • 同作品(左斜め上アングル)
  • 同作品(正面アングル)
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  • 同作品部分
photo:Takeru KORODA

川端健太郎展Kentaro KAWABATA

Life is a Series of Deadlines

10/23 Sat. 〜 11/7 Sun. 2021

 芸術の人の一生を思えば、それは苛酷で残酷な〆切の連続のように思われる。〆切とは重苦しいものである。それが近づくにつれあせってくる。気鬱になる。制作に取り掛かろうとするが、インスピレーションは降りて来ず、途方に暮れるような気持ちを味わうのではないか。できるならすべて放り出して遁走したい衝動に駆られることがあるのではないか、と筆者は想像する。惻隠の情に耐えない。
 しかしながら、やはり人生は〆切の連続なのである。そして〆切は恐ろしいものでもある。それはたとえば手形のようなものである。振り出した手形を期日に落とせなければ、デフォルトということになる。経済的には死活問題となってくる。たとえが悪かったかもしれないが、〆切とは、外から課される約束のようなもので、この世に生きている以上、一つ一つ越えてゆかねばならないのである。あまり何度も反故にするようなら信頼を失うことになるのだろう。
 川端健太郎は、どちらかといえば〆切にルーズな人である。〆切というものに剛胆というか、胆力がすわっているのかとさえ思わせられる。筆者のところではまだデフォルトの憂き目にあわせられたことはないが、危険人物であることはつとに認識していた。だから〆切が迫ってくると、必ず様子を見に行くようにしている。出展作が当方の安心する程度に揃っていたことはまずない。そこで保険ではないが、彼の手許に残っている作品で、デジャヴ感のないものを、かき集めて持って帰るのである。もろにスッポンをかまされても、まがりなりにも会場に作品が並んでいるようにと思ってのことである。
 今回も期日が迫ってきが、案内状用の作品は来ない。こちらもあせり出して例のかき集めも兼ねて、個展初日前週の水曜に伺うことになった。ぎりぎりである。その日の昼過ぎには渡せるということだった。出張旅程は多治見、瑞浪、常滑と組んで出発である。川端は瑞浪に住まいしている。訪問の前日、火曜に多治見に入った。予定では明日彼を訪い、その日の夕刻に常滑入りとしていた。こちらもはばかりながらスケジュールというものがあるのである。さて多治見に着いたが、どうも尻のあたりがむずむずして落ち着かない。彼は水曜の昼過ぎにはと言っていたが、すぐにでも彼に会って顔を見て、リアルに状況を目視したい念がもたげてくる。それで夜討ち朝駆けではないが、突如の訪問をすることにした。彼は眠そうにして出てきた。「あれ明日じゃなかったですか?」
 いろいろ直に確かめてみると、案内状用の作品の窯出しは明日の夕方ごろ!になるとの由(夕方には常滑に入らねばならない)。いま窯の中に入っているのは二点!との由。その他の個展用の作品はこれから!作るということ。かき集め用の在庫品は、ほとんど皆無!だということが判明する。案の定、突撃してよかったと思った。そして筆者は、やはり川端の面目躍如だったと思い、笑ってしまった。案内状用の作品は結局、必ず金曜日(初日一週間前!)に着くように送ってもらうことにして辞去した。
 ものを生すということは、悩ましく苦しいものなのだろうか。それともそれは歓喜なのだろうか。創作のことである。創作することの呻吟や歓びは、あざなえる縄のように交互に去来するのだろう。川端とは仲良くしていただいてすでに久しい。筆者なりに彼の人とナリは知っている。作品のことも一人の理解者であるつもりである。彼の〆切の越えようは彼独特で、スリリングで、人に迷惑をかけることもあるのだろう。しかし筆者は、変なもの言いだが面白がっている。それは彼の作るものがものをいっているからである。愛すべき人とナリだからである。また彼とてものを生す悩ましさと歓びを、そして〆切の恐ろしさを知らぬはずはないと思うからである。もう一つ、彼は、人をして彼ならしょうがねえなあと思わせるような器量の人に思われるからである。-葎-

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本展の出品作品は、Shopページでご覧いただけます。
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