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photo:Takeru KORODA

岸田匡啓展Masahiro KISHIDA

Far Away Touch of Brush Strokes

5/27 Sat. 〜 6/11 Sun. 2023

 詩書画の書というものを見るとき、誰のものかといった予備知識がなくても、その前を立ち去り難くさせられ、沈黙を強いられることがある。その墨痕に気圧(けお)されることがある。たとえそれが我流、逸脱流であってもおのずと現われ出るものがあるからだろう。かねがね作品は人ナリと思っている。書いた人の人とナリとか、心映えとかがやはり出てくるのだろう。
 大徳寺真珠庵の本堂には蓬髪の一休禅師像が安置されている。その像に侍(はべ)るように、五百年以上を閲(けみ)した二幅の軸が左右に掛かっている。寺に伺ったときによく目にするのだが、右軸に”諸悪莫作”、左軸に”衆善奉行”と大書してある。重文の一休禅師の遺墨である。もろもろの悪さを働くな、もろもろの善きことをせよという、子供でも当り前のことが書かれてある。しかしこの教えは七仏通戒偈(しちぶつつうかいげ)といって、釈尊以前の過去世に出現した六仏と、釈尊を加えた七仏がみな共通の戒めにしたものといわれている。釈尊以前の六仏は知らないが、おそらく大昔からのミュートス的諸仏を数えるのだろうか。七仏通戒偈は諸仏さえ拳々服膺(けんけんふくよう)せねばならぬものとしたのだろう。一休禅師も、数ある遺墨のなかでも特に大きな字で筆を揮(ふる)っている。ちなみにこの二行に続いて後半の二行がある。”自浄其意”、”是諸仏教”、みずからそのおのれの心を清くせよ、これこそ諸仏の教えなりと説かれている。軸は前半の二行だけだが一休さんの墨痕が大いにものをいって、この八字で仏陀の説いたすべてが片づくような気がしてきて感動を覚えるのである。一気呵成とはこれをいうのだろう。墨を充分に含んだ書き出しから、しだいにかすれてゆく様子、ざんばらな筆で書いているのではないか。下のほうの字はかすれて細い描線が束のようになって走っている。その線一本一本が流麗で美しい。そして一歩退いてみれば剛胆というか荒々しくも雄渾(こん)である。我はこれが言いたいのだといった気迫充満の書なのである。一休禅師が一旦筆をにぎれば、辺りを払い無敵のように思われる。
 お話がらっと変わって、唐津には絵唐津という一群があって、初期のものには垂涎(すいぜん)ものが多い。真の絵唐津はだから発生期に集中していて、その間せいぜい二十年ほどなのではないか。オリジンとなる発生的な美は一閃の光芒を放って消えゆくものなのである。草花文が多いのだが、ラフなように見えてその細い線、太い線はなんの屈託もなく、スッ、スッと筆致は軽やかである。モティーフの抽象化も大胆、見事である。そして自由裡に描くことの歓びのようなものが、初期のものには感じ取れるのである。
 今展の岸田匡啓が先日消息文のようなものを送ってきた。「自分の絵の理想みたいなものを考えると、器に絵を描くことを二次元的ではなく、もう少し三次元的に考えたいということがあります。たとえば、魚が泳いだり、水藻が揺れている水中のような三次元の世界のなかに、透明な器が浮いていたとして、その魚が泳いで器を通り抜ける軌道がそのまま絵になったり、藻の揺れる影が器を通り抜け、その残像がそのまま絵になったりするような、そんなふうな絵が描ければと考えています。理想にはほど遠いですが、そんなふうに考えて足掻いた制作の過程と思って下さって、今回のものを見ていただけると嬉しく思います」。
 なんとなく、いや、よくわかるような気がする。芸術の人がものを生(な)すというのは、完全自力の世界の所業である。やきものも、素材やプロセス、あるいは技法に謀(はかりごと)をめぐらして、緻密な計算もするわけである。しかし最終的にはいろいろとめぐらした謀からスポンと抜け出たような、作ったというのではなく、出来てしまったようなものを彼は生したいと思うのだろう。
 岸田匡啓の絵唐津は、なにか天上から引いたような描線の美しさがあります。太い線、細い線の組み合わせやその配しようには、余人にはなかなか期待できないものがあります。つとに彼の絵筆には感じ入っておりました、今回は絵唐津を中心に出して下さいます。何卒のご清賞を伏してお願い申上げます。-葎-

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