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photo:Takeru KORODA

梶原靖元展Yasumoto KAJIHARA

Longing & Looking for The Fundamentals

4/4 Sat. 〜 19 Sun. 2026

青瓷の源流「秘色」へ 梶原靖元展によせて
 現代の唐津焼中興の、影の立役者と言いうる梶原靖元について、私はすでにいくつもの文章や批評を発表してきた。あまり読まれている実感がないので、ここで簡単にそれを繰り返せば、陶芸において「原理的」であるとは、見た目(色、形、質感、手取り…)を写すことではなく、その見た目を生み出す本質的な原理(素材の地質学的分布と特性、釉薬の化学的配合、窯構造と焼成方法、文献伝承ではなく考古学的に同定された現物や陶片の分析)をこそ問題とすることである。古陶磁の「写し」は数百年前の伝世品を写す、つまり最初から数百歳の作品を作ることであり、中国の数多の窯跡地で生産される「倣製品」は、古陶磁の原理を突き止めたうえでそれを再現する。前者には原理がなく、後者には原理があるが、どちらもゴールが定まっている点では同じである。両者とは異なり、梶原靖元は、その原理に則っていわば数百年前の陶工に成り代わり、新作を作るのである。
 梶原は唐津焼の陶芸家として、当然ながらまず古唐津の本質を探求した。古唐津とは、唐津の素材で作られた朝鮮白磁(石もの)のヴァリエーションであった、と。そうであれば、当然その源流は朝鮮半島にあるから、作家は半島に研究滞在し、さまざまな朝鮮陶磁の本質を掴み取る。さらにその源流を遡れば、高麗陶磁に至るだろう。高麗青磁については、北宋の外交官、徐兢(じょきょう)がその高麗視察の報告書『宣和奉使高麗図経』(1124年)のなかで、「狻猊出香亦秘色也…諸器唯此物最精絶 其餘即越州古秘色 汝州新窯器 大概相類」と大絶賛したことはよく知られている。「獅子の香炉も秘色だった…これらの作品は素晴らしい出来で、古の越窯の秘色、今の汝窯の器に匹敵する」、つまり、高麗青磁は、同時代の汝窯の影響下に誕生し、その汝窯は、越窯の「秘色」に遡る、と。
 陸羽(りくう733−804)の有名な『茶経』でも「盌 越州上 鼎州次 婺州次 岳州次壽州洪州次 或者以邢州處越州上 殊爲不然 若邢瓷類銀 越瓷類玉 邢不如越一也 若邢瓷類雪 則越瓷類氷 邢不如越二也 邢瓷白而茶色丹 越瓷青而茶色緑 邢不如越三也(四之器十八)」とあって、陸羽は越窯を邢窯の上におき、その理由は後者が銀なら前者は玉、後者が雪なら前者は氷、茶の色は邢窯白瓷では丹(あか)く見え、越窯青瓷では緑に見えるからだと論じる。
 しかし、本展について、梶原は晩唐の詩人、皮日休(ひじつきゅう834−884?)の「茶中雑詠」より「茶甌(ちゃおう)」という詩を選び、「漢詩の中の器を作ってみました」と言う。皮日休にとって、邢州窯と越窯は同等であった。邢客與越人/皆能造茲器/圓似月塊堕/軽如雲魄起… 邢窯と越窯/どちらも能くこの器を造る/円きは月塊の堕つるに似/軽さは雲魄の起こるが如し。越窯の「秘色」青磁については、皮日休とも接点があった、唐代の陸亀蒙(りくきもう?-881)『秘色越器』の詩句「九秋風露越窯開、奪得千峰翠色来」のほうが知られているだろう。晩秋の風が冷たい折に越窯が開かれる、千峰の翠色を奪い得て来たようだ、と。越窯秘色を歌った詩には事欠かない。
 また徐夤(じょいん849-938)の詩「貢余秘色茶盞」では「捩翠融青瑞色新(翠色を捩って青を融かせば瑞々しい色は新しく) 巧剜名月染春水(巧みに名月を抉って春の水に染める) 軽旋薄氷盛緑雲(軽く薄氷をめぐらせ緑雲を盛る)」と表現されている。
 越窯秘色については、1987年、西安の法門寺地下宮殿からの発掘品のなかに、そう名指された品々が含まれていたため、実物の色彩が確認できるようになった。それは皇帝用の貢品で、当然ながら日本には伝来していない精品であり、のちに汝窯や龍泉窯に連なっていく軽やかな青緑色を湛えていた(無中生水:空っぽなのに水を湛えているように見える)。一応の答えは出ているのだ。しかし作家は「漢詩の中の器を作ってみた」とーなんという自信だろう!ー言うのだから、今展には、梶原靖元流の「秘色」青瓷が並ぶのであろう。円きは月塊の堕つるに似、巧みに名月を抉って春の水に染める、すなわち春の湖面(上林湖か)に写った月の丸さ。軽さは雲魄の起こるが如し、すなわち焼き上がり、手取りはあくまでも軽い、と。陸亀蒙は晩秋の凛とした空気の中へ、窯のなかから新緑の季節の翠色が流れ出してきた感動を歌い、徐夤によれば、それはただの翠色ではなく青が融かされており、おそらくは陸羽を踏まえて、薄「氷」に緑の雲が盛られている色調である、と。展覧会の初日が待ちきれない。
清水穣(美術評論家)
 (本校執筆にあたり布目潮渢『茶経詳解』(淡交社2001年)を大いに参照しました)

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本展の出品作品は、Shopページでご覧いただけます。
Pieces shown in this exhibit can be viewed, and, if available, purchased, on the Shop webpage. Please follow this link to the Shop and search using the artist's name, or navigate using the alphabetical list of artist names.

鯉江明展
前の投稿2026年3月7日

鯉江明展

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